レクイエム

きっと、どこかでこのもやもやした思いを書き綴らなければ、私の中で整理できないと思ったから。


この仕事を始めて、ほんとにペーペーだったワタシを大きく育ててくれたMさん。

丸3年の付き合いでしたね。

最初はワタシもどうしたらよいのかわからず
とりあえず、はいはいとしか言えなかったけど。

この仕事で一番大切なのは信頼関係を築くこと。

月一の頻度で会って、何をするかもお互いに手探りで決めていった感じ。

その間に電話はしょっちゅうあったり。

ほんとに、一方的に怒られて電話を切られたり
会ってても不満ばかり言われたり

でも、次の日にはすっかり機嫌が良かったり

「娘のようだ」と言ってくれたのも、ちょっと嬉しかったんです。
それだけ、仲良くできているんだろうなぁと思ったから。

ちゃんと、年々成長していくさまを理解してくれていて
「だいぶしっかりしてきたね」
等、言ってくれるのもMさんしかいないから。
ほんとに嬉しかったりした。

「あんただから言える」
とか
「あんたしかおらへんねん」
とかも、やっぱり言ってもらえるのは
それだけ信頼関係ができているんだろうなぁ、と思えて嬉しかった。


ほんと、Mさんのおかげであちこち行けたしね。
Mさん自身も、ワタシと一緒だから色んなところへ行くことができた。と喜んでくれてたし。

この春で、月1でのそういうお出かけは終了。

ぼちぼち「子離れ」だなぁ。と思って、他の人とのつながりを広げようとしてたんです。
おかげで、徐々にサポートする人も増えて。

カンファとか経験できたのもMさんのおかげ。
一人の人に色んな人が応援してるんだなぁと、実体験で勉強できたし。

きっと、それも、Mさんの人柄もあったんでしょう。
人懐っこいし。
見知らぬ町行く人でも、気軽に声をかけたり
お店の人とのやり取りも、ほんとワタシにはできないと思う声のかけ方で。



このあいだ。
22日。
久々に、二人きりで会う約束をした。
Mさんの「カラオケ喫茶に行こう」という言葉で、それに決めた。

もちろん、ワタシとしては、普段のMさんの生活の一部を知るということで一緒に言ったわけで。

会ったとたん、異変に気がついた。
正直びっくりした。

でも、医療関係は別の人に任せてある。
ワタシの主な担当は生活の支援。

気にもなりながら、カラオケに興じる。
Mさんもそのうち元気になって、しっかりとした歌声で
あいかわらず、歌がうまいんだよなぁ。と思ったり。

帰りは、家の前で立ち話。
いつも気にかけてくれる、ワタシの「いい人はできたんか？」という話やら、これからのこととか。

「次は、来年の春ぐらいやね。○イチに行きたいねん」
「前から言ってましたもんね、是非、行きましょう。ワタシも言ったことないですし、行ってみたいです」

そんな来年のことの約束もしたまま、お別れした。



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月曜日。
市役所から昼ごろに電話があった。

「ああ、うらんさん、あのな、Mさんな、亡くなりはってん」
「えっっ！！先週お会いしたところなのに！！」


詳しいことはわからず。
昨日、ようやく教えてもらったけど。

悲しいのは、お通夜にもお葬式にも参列できなかったこと。
ご親族の方が、おそらく、嫌がったのだろう。
だって、まだまだ偏見は強いですから。


きっと、親族の人よりも、この3年はいろいろとMさんとお話したり、お出かけしたりしていたのに。

せめて、最後のお別れだけはちゃんとしたかったのになぁ。



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訃報を聞いた日の晩から、職場の合宿。
こんなときに限って。
でも、こんなときだったから、何とかなったのかもしれない。

一切、涙は流さなかった。

考えるのを辞めていたから。
Mさんのこと。


合宿から帰り着いて
シャワーを浴びながら
すべてを流した。
それまで、張り詰めていたものをすべてすべて吹っ切って
思い切り、一人、泣いた。
せめてもの、レクイエムとして。


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他のスタッフにも、特になにも言われていない。
もうちょっと、声かけがあってもいいのにと思うけど。
(他の人の時は全然違うかったのになぁ）

結局、やっぱり葬儀にも参列できず
いつなくなったのか、死因はなんだったのかも知らないまま
水曜日はもんもんとして一日を過ごした。

そのおかげで、なんだかもやもやして、すっきりしない。

だから、ここに書いて、けりをつけよう。



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最後にお別れするとき
「今日は、楽しかったわ」
と言ってもらえて、笑顔でお別れできて、ほんとよかった。

今まで教わったたくさんのことを大切にして
もっと成長したいと思うから。

Mさん、ありがとう。



ほんとうに、さようなら。